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執筆者の写真生 吉村

スイシャジムを探す旅

『水路上観察入門』に書いた「スイシャジム」という遊具について、刊行時、製造元のニット産業株式会社さんが会社のwebで取り上げてくださった。



ここに載っている写真が2枚ある。 わたしはどうしても、「場所はどこか?」、そして「今もあるのか?」ということが知りたくなってしまう。場所が分かれば、水路の情報を探ることができる。そして今もあるなら、ぜひとも見に行きたい、と思うのだ。


けれどマンホーラーさんたちのように場所特定の技能は持っていないので、途方に暮れるばかり。片手袋の石井さん・編集者による磯部さんのトークイベント「都市のラス・メニーナス」に出させてもらったときも、この話をした(39:00前後)。するとTwitterとかで聞いてみたら?とアドバイスいただき、成る程そんな手があるのか、と思った。


そして、お願いした。




「水車型遊具を探しています」だなんて、どんだけ謎に満ちたお願いなんだよ・・・と戸惑いながら投稿したのだが、結果からいうと、なんと、片方の場所が特定でき、過去写真をいただいて、現存の場所まで聞けてしまった。ろくに見なくなっちゃってたけど、改めてすごいなTwitter。


まずはふわたんさんが教えてくれた、これ。




投稿後僅かな時間で写真が出てきて、本っ当〜にびっくりした。


スイシャジムはわたしが見たことのあるどの配色(つっても3種類だが)よりも柔らかくやさしく、かわいらしい。幼稚園児に人気っぽいこの雰囲気・・・!

残念ながら、現存はしないそう。設置場所にはまだ行けていないが、航空写真で見ただけでも、隣の敷地には明らかに水路がある。湧水池っぽい感じがするので、水車を回すほどの水流はないかもしれない。でもここには、スイシャジムがあったし、水路がある。早く行きたくて、うずうずしてしまう。


それにしても、こんなにちゃんとスイシャジムを撮った写真があって、思い出して見せてくださる人がいるなんて。奇跡じゃないだろうか。ふわたんさん、本当にありがとうございました。



それから、なんと2枚目の写真を見て「あそこっぽい」とすぐに特定できる人がいて、本当にびっくり!


kerene660さんから「昔の羽田東急ホテルに似てませんか?」とのツイートがあった。

壁の色が似てると思われたらしいのだが、なにそれすげえええええ、と自分大興奮。


特定といえばこの人(と勝手に思っている)、駅からマンホールさんがどんどん写真を探して確定していく。



1972年の全景写真まで見つけてくださった。



スイシャジムはまだ設置されていない。1972年、まだ製造されていないので仕方がない。


でも、完全にここだ。羽田の東急ホテルだった。(新しくできたホテルには泊まったことがあったが、前のホテルの外観の記憶はない。)


水車があるような場所ではないけれど、一応、水路との関係性について過去地図で確認しておく。





最後に。どこかにあったらいいなぁ、と思っていた現存案件も、茅ヶ崎にあることがわかった。

月の輪の雷蔵さんからのツイートによれば、「松浪公園」にあるという。


現存案件については、「いつなくなるかわからない」という不安がどうしてもつきまとうので、行けるタイミングで行くことにした。


事前に、水車と水路の情報について少しだけ調べておく。茅ヶ崎市が市内の開渠暗渠の情報について公開していた。



参照元はここ。ありがたいことです。


これを見る限り、少なくとも松浪公園及びその近くに暗渠はない。また、古地図の情報からは、水車があるようには思えない。ただ、現地に行くまではなんともいえないのが暗渠である。


初めて茅ヶ崎に降り立った。暑い。こんなに暑い日に海にもいかないのに、茅ヶ崎に来ることになるとは。

前述のように不安なので(笑)、松浪公園にまず向かう。


あった…!




情熱のレーッド!!





水車に赤とは大胆な配色だが、茅ヶ崎の明るい町並みを見ていると、情熱のレッドはしっくりくる気がしてくる。

草と地面のバランスを見ると、ここで子どもは確実に遊んでいるだろう。

それにしても、現存のスイシャジムを、ついに五反田の他にも見ることができたのだ。恐ろしく興奮しながら写真を撮りまくったが、暑さゆえか誰もこなくて助かった。


ついで、地形を感じながら、付近を水路が通っていた可能性について、考えながら徘徊してみる。残念ながら、自治体情報・古地図・現地形、の3点からは、ここか付近を水路が走っていた可能性は低く、水車の可能性はさらに低いと思われる。


つまり、羽田と茅ヶ崎のスイシャジムは、わたしの仮説「ここに水路(もしくは水車)があったことを後世に伝えたいと思う人が設置した」を、支持してはくれなかった。

そんな風に少し欲張ってしまったが、いやいやしかし、独力で探そうとしても、五反田以外のスイシャジム情報には、きっと掠ることもできなかったろう。


改めて。情報をくださったみなさまと、拡散してくださったみなさまに、心から、御礼申し上げます。



ところで、1枚目の写真についてはなにも解けていないし、スイシャジムはまだまだ全国各地、あちこちにあった(ある)可能性があるのである。わたしの「スイシャジムを探す旅」は、まだまだ途中なのだ。


まずは「スイシャジムを探す旅」をスタートできて、本当にうれしい。

引き続き情報を求めているので、心当たりのある方は、是非是非教えてくださいませ。


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