横浜の暗渠については、それまでもちょこちょこと書かせていただくことがあったのだが、「暗渠パラダイス!」に「一つの都市を暗渠で斬れば」という章を書いた。その舞台が横浜だったため、神奈川スリバチ学会さんと協同で千代崎川フィールドワーク(根岸〜本牧)をやらせていただくことになり、色々と準備を重ねていた。
それが、2020年春のこと。
そう、「暗渠パラダイス!」の発売記念イベントは、コロナの感染状況が悪化したために、対面ものがことごとく(厳密にいえば、最初の代官山蔦屋さんのみ開催できた)なくなってしまった。(もうひとつ厳密にいえば、未だ「延期」と認識しているものがあって、それはいつかやりたいと思っている。)
神奈川スリバチ学会さんとは継続的に仲良くさせていただき、延期中でいつできるかわからない千代崎川フィールドワークの前哨戦として、オンラインイベントをしたり。
定期的にコースを練ったり。
そうするうちに、我々暗渠マニアックスが「暗橋」の本を書き、その執筆過程で吉村が千代崎川の橋のことで横浜の郷土史家・長沢さんに質問をし、本にも少し登場していただくという流れがあった。長沢さんに暗橋本を献本したところ、喜んでくださりさらにはお礼までしてくださるというので、図々しくも神奈川スリバチ学会のフィールドワークに長沢さんをお招きし、解説をお願いすることにした。
神奈川スリバチ学会の方もその時とても喜んでいたように、長沢さん、本当にすごい方なのである。「本牧・北方・根岸」を読めば、そのすごさがわかる。千代崎川への知識と愛情もはてしなく深く、大きい。
それが2023年初めのことであった。神奈川スリバチ学会の方と、すでに内容がてんこ盛りになっていたコースを、色々削って(その日中に終わるように)再編成した。
そうしてやっと、長い延期を経て、千代崎川フィールドワークが実施された。根岸に集まり、根岸競馬場を目指す。
ここは好きな看板のある、源流部のひとつ。
根岸競馬場にある、謎の大蔵省マンホール。
千代崎川は護岸の植物がとても良いので、春に合っている。
ここも好きな場所。天空階段。
千代崎川の蓋は独特。
川の名が記された看板。
長沢さんとは、大和橋のところで合流した。引き続き千代崎川を下る。
市場橋のところに焼き鳥屋さんがあるのだが、そこで長沢さんが焼き鳥を奢ってくださった。うれしくて、市場橋とともにパシャリ。ごちそうさまでした!
長沢さんは、郷土愛が深く知識量が多いだけでなく、川や橋との向き合い方もすごい。横浜の震災復興橋、それから千代崎川の模型を、どんどん自作されているのだ。
メールで拝見していたそれらを、ぜひ実物で見たい、と思っていた。
途中、千代崎川の暗橋が暗渠上に展示されている場所があるのだが、そこで長沢さんが、自作の10分の1模型を取り出す。フィールドワーク参加者、歓喜して盛り上がる。
さらには、こんなサプライズも。
ここではこの日1番の歓声が上がった。
こちらは開渠の橋も含まれるが、一番大きいのが花園橋。派大岡川の暗橋だ。
千代崎川の最下流、小港橋の模型と小港橋。
長沢さん、神奈川スリバチ学会さん、改めてありがとうございました。
たのしかったな。
あれからもう1年も経つのか。
そして今、野毛の星羊社StockroomNOGEにて、「暗橋で楽しむ横浜さんぽ展」が開催中である。
暗橋展の展示方法や構成は、会場や地域等に合わせて変えてきているのだが、今回は初心にかえって、高山(横軸)吉村(縦軸)でそれぞれ暗橋を解説していくスタイルとした。そしてミニパネルも作り、あちこちにちりばめた。
物販は、会場の星羊社さん=出版をされているがゆえのオリジナル商品が目玉だ。
数カ所の新情報を足した、「読む手ぬぐい」、吉田新田暗渠マップ手ぬぐい改訂版。
そして編集・デザインをお願いし作っていただいた、展示図録。
焼き鳥と一緒に撮っていた市場橋を模した、横浜暗橋サブレ。(背面に解説付き)
A.K.laboさん(いつもありがとうございます!)が型から作ってくださった、文字まで再現されている逸品。
残りわずかとなってきたマニアパ「暗橋&暗渠Tシャツ」も。暗橋の説明にもってこい。
そして、金沢暗橋サブレ、金沢民景暗橋号、金沢水辺の異界zineも。
※金沢暗渠暗橋グッズの売り上げは、全て能登に寄付させていただきます。
展示内には、もちろん千代崎川の暗橋も複数あり、長沢さんの模型と実物とを一緒に撮ったものもパネルになっていて。あの写真は、1年前のフィールドワークで撮ったものなのでした。模型を見て皆でわぁっと喜んだ、あの雰囲気を思い出しながらパネルを作りました。
昨日までご来場いただいたみなさま、ありがとうございました。
会場を貸してくださることももちろん、図録等の作成過程でも大変お世話になった、星羊社さんへも大きな感謝を。
展示は今日が最終日、13時から17時まで。
もし近くにいらっしゃることがあれば、是非是非お立ち寄りください。
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